不幸はぜんぶ時代のせいにして一般人には理解が難しい

ヤンキーは独特の美意識を持っているらしい。性愛に対しても。

僕自身、実は矢沢永吉は嫌いじゃなかったり、カラオケでGLAYを選曲したり、あるいは羽根付きのセダンに乗っていたりするような、自分の中のヤンキー性を無視するわけにはいかない。酒井経済的に見ても、今やヤンキーに売れないとメガヒットにはならない。ただ、いわゆるマーケティング的手法では、ヤンキーの消費行動は把握しきれていないのでは。斎藤おたく産業の規模よりもヤンキーの経済規模の方がはるかに大きい。「三〇兆円産業」といわれるパチンコも、ヤンキーが支える大きな文化ですよね。

やはり、経済格差を論じる場合、ヤンキーを避けて通れないのではないでしょうか。そういうふうに考えると、どの程度ヤンキー文化が社会に浸透しているかという話をせざるをえません。たとえば、二〇〇五年に話題になった三つの小説いずれも奇しくもネット発の小説が日本のカルチャーを代表しているところがあって、おたく系の『電車男』、「サブカル」系の『いま、会いにゆきます』(35)、そして『DeepLove』です。

『DeepLove』はヤンキーが読むという珍しい小説です。すごい本ですよ、あれは。酒井パラパラと読みましたが、独特な日本語使いですよね。斎藤異様な美意識というか、不幸はぜんぶ時代のせいになっちゃうんですよね。あの無力感は演歌ともつながっているような気もします。三作とも犬が登場するところも重要なポイントです。私の解釈では、三つの相容れないカルチャーが動物のレベルで通底する、という事態の象徴なんです。ヤンキーの美意識斎藤そこで、ヤンキーの美意識について、掘り下げてみたいと思うのですが、ヤンキー文化って、脈々と続いているじゃないですか。


肥大化を好むのは、「これ以上痛い思いをしたくない」という心理の表れではないか。酒井何かに包まれたい、と。こわよわて斎藤彼らはけっこう強面に見えて、実はかなりのファンシー好き。成人式でもファー(毛皮)を身につけた女性たちが目立ちましたが、あれは象徴的です。

ああいうものを車のダッシュボードに置いていますよね。UFOキャッチャーで捕獲したぬいぐるみを一杯置いていたりとか。酒井そうですね。床にも敷いて土禁にしていたり。全体的にフェイク・ファーが好きですね。斎藤ふわふわしたものが好きなのではないでしょうか。あれがヤンキーのもろさというか、傷つきやすさを象徴しているように思います。酒井過剰さは、自分を守るためのフェンスのようなもの。

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